大学入試⑤ よくわかる
「センター」廃止塾再編も
 20年以上続く大学人試センター試験に代わる新たな入試制度の議論が大詰めを迎えている。文部科学省の高大接続システム改革会議(座長・安西祐一郎日本学術振興会理事長)は8月下旬、高校の次期学習指導要領と大学入試改革を連動させるとの中間まとめ案を了承した。年内に最終案をまとめ入試改革のスケジュールの大粋を決める。
 センター試験を廃止する背景には、志願者の基礎学力を測るという当初の目的の達成が難しくなってきたことがある。少子化に加え、書類審査や面接で選考するアドミッション・オフィス(AO)入試といった試験形態の多様化に伴い、十分な学力がなくても大学に進む若者が増えている。
 これまでの大学入試は暗記中心の知識や解法を問うばかりで、思考力や判断力を含む学力を測りきれていないとの反省もあった。新制度には、大学側が学生の学力をきめ細かく評価できるようにすると同時に、高校生の学ぶ意欲を高めたいという思惑が働いている。
 高大接続システム改革会議が8月下旬に公表した中間まとめ案は、在学中の学力を測る「高校基礎学力テストへ仮称)」を19年度、センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(同)」を20年度に始めることを盛り込んだ。ただし、両テストとも試行期聞を設け、本格実施はそれぞれ4年程度繰り延べる。
 学力中低層を対象とする基礎学力テストは高校2、3年生が年2回受験できる。受験者の成績は10段階以上の評価で通知する。学力中低曙の生徒の学力把握や学習改善を目指しているため、順位は示さない。23年度以降に大学入試や就職活動に活用される見通しだ。
 学力評価テストは高校3年生を対象とし、年に複数回の実施を予定している。当初は選択式と記述式での出題となるが、24年度からは文宇数の多い記述式の出題の導入を検討している。
 中間まとめ案では、数学や理科などで思考力や判断力、表現力の適切な評価に重きを置くとしている。現時点でテスト実施月など具体的なスケジュールは固まっておらず、文科省は16年度中をめどに決めるという。
 入試改革が囲指す詰め込み型受験対策からの脱却が進めば、従来の受験対策は通用しなくなるため、学習塾・予備校の需要減も危惧されている。今年5月には通信教育大手の増進会出版祉(静岡県長泉町)が学習塾最大手の栄光ホールディングス買収を発表した。センター試験廃止などの大学入試改革を機に、教青産業の再編機運も高まっている。 (この項おわり)
《出典》日経産業新聞 (27/09/11) 前頁      次頁