広い家持ち、バカンス満喫
暗い今こそ夢見たい
経済企画庁長官の私的研究会である「スペースとゆとり研究会」は一日、国民生活を豊かにするために居住や行動の「スペース倍増」を目指すべきだ、とする緊急アピールを発表した。
「ホームパーティーができる住宅を実現しよう」や「フランス並みのバカンス生活を楽しもう」など、現実離れした八項目が並んだ。
座長としてとりまとめた樋ロ広太郎・経団連副会長(アサヒビール会長)は「現在の厳しい経済情勢の下、何を寝ぼけたことをとの批判は承知のうえ。こんな時だからこそ、夢のあることを内外にアピールすべきだと判断した」と説明した。
大都市圏で平均約八十平方㍍の住宅面積を米国並みに倍増することを目標に掲げた。
具体的には、住宅ローンの金利をすべて所得税から控除する新制度や不動産取引所の創設を提案した。また、セカンドハウスの所有を減税の対象とし、住民税を本宅とセカンドハウス所在地で案分する制度などを示した。
ただ、突っ込んだ具体策などは示さず、樋ロ座長は「実現に向けて期限と具体的方策を決めていくのは政治の役割だ」と政治にげたを預けた。
《出典》朝日新聞 (10/06/02) 前頁      次頁