水入りボトル「1本火事のもと」
凸レンズの役割 太陽光集める
 世田谷区のマンションのベランダで昨年11月、座布団などが焼けたぼやについて、東京消防庁は6日までに、太陽光線が、段ボールのそばにあった水入りのワインボトルを通って点になる「収れん現象」を起としたのが原因と断定した。「水を入れた空き瓶を外に出したままにしておくと、火事になる恐れがある」と注意を呼び掛けている。
 ぼやは昨年11月28日午後2時ごろあった。捨てるために置いてあった座布団や段ボールから出火し、気付いた住人が間もなく消し止めた。現場に火の気はなかった。東京消防庁は、座布団のそばにあった高さ30㌢、直径15㌢のワインボトルが火事に関係あり、と推定した。
 成城消防署の裏庭で昨年12月、同じボトルを使って実験をした。ぼやがあった日と同じ快晴の日を選んだ。ボトルに水を入れ、そばに段ボールを置いたところ、約2分後に煙が上がった。
 水入りのワインボトルが凸レンズの役割を果たし、日光をボトルの中で屈折させ、外に出すときに点とすることがわかった。
《出典》朝日新聞 (11/02/07) 前頁      次頁