「建築なんでも資料館」
ホームページで建築家とお客様を結ぶ
 前述のように、工務店のホームページも増えたが、独自のサーバー(24時間フル稼働のコンピューター)を立ち上げている会社は少ない。そうした数少ないホームページを立ち上げている建匠(本社/東京都目黒区)の辻隆夫社長に話を伺った。

ホームページで情報発信
 当社がホームページを開設した主旨は、住宅を中心に地道に設計をしている建築家や、手づくりで家造りをしている我々のような工務店が敬遠されているという現状の中で、そうではないという部分を、一般のお客様に分かってもらえるようなホームページを作れば、役に立つのではないかと思ったからです。
 一般の方が、建築の情報が欲しい時、インターネットで当社のホームページを探してもらって、そこに盛りだくさんの情報があって、安易に大手ハウスメーカーに頼むのではなくて、住宅を建てるのなら、自分達で建てたいと思うような気持ちになってもらうだけで、価値のあることではないかと思っています。

2年で8000件のアクセス
 最初に、ホームべージを立ち上げたのが、97年5月ですから、今年の5月で2年になります。その間にコツコツと何度も作り変えています。現在までのアクセス数は約8000で、一日20件位のアクセスがあります。
 サーバーを立ち上げるまでは、建築家を紹介するアーキテクトモールというページに力を入れていたので、このページのアクセスが一番多かったのですが、最近は不景気ということもあってか、見積のできるページのアクセスが多くなりました。
 ホームべージが直接仕事に結び付けば良いのですが、そうした営業的な面は、インターネットというオーブンなシステムと合わない部分があります。 ですから、以前は、建匠のホームページということでしたが、今はトップページ(ホームベージの最初の画面)には、建匠という文字は入れていません。
 しかし、先日、見積依頼のメールが入って、見積書を提出しました。まだ正式には決まっていませんが、受注できそうな現場もあります。
 目を引くような華々しいホームページを作れば、一度は見てもらえるかもしれませんが、何度も見てもらうためには、専門家が見ても遜色のないような情報や新しい情報を織り込まなければ駄目です。
 また、トップページも、最初は写真を多く載せましたが、アクセスに時間がかかりますので、今はできるだけ軽く(情報をあまり詰め込まない)しています。コンピューターの機種や基本OSが違うと、見えなかったり、文字が化けて(意味のない記号になる)しまったりするので、そうした部分の配慮も必要です。

ホームページ作りのアドバイス
 ホームページを作る場合、基本的には、リピーター(何度もアクセスしてくれる人)がなければ駄目ですから、内容の充実はもちろん、作りっぱなしでは駄目です。
 最初は外注で、カッコの良いホームページを作っても、その後、自分でいじれなかったら、リピーターを呼ぶことは出来ません。最初に立ち上げるのは大変かもしれませんが、自分でやった方が良いでしょう。最近はホームページを簡単に作れるソフトもあります。試行錯誤をしながら、内容を充実させて行くと、作り手の人柄や人間性の表れたホームページが出来上がると思います。住宅の場合、手作りのホームページの方が合っているように思います。自分たちの仕事に対する考え方を反映するような、手作りのホームページの方が良いと思います。

社員や下職もネットワーク化
 当社では今後、社員一人一台のパソコンにしようと思っているのですが、各々のパソコンから直接ファックスも送れるので非常に便利です。
 例えば、設計事務所とのやり取りもパソコンを使えば、その過程や結果が記録として残ります。そういう意味で、情報の管理が非常に楽になりますし、他の社員がそれを見ることもできるので、情報の共有化ができます。
 またこれからは、下職さんに、メールアドレスを与えて、ダイヤル・アップで当社のサーバーにアクセスして、メールのやり取りができるようにしようかとも思っています。そうすれば、見積書もメールでやり取りできるようになります。
 インターネットの利点としては、電話やファックスで仕事を中断されることがない点です。電子メールは、自分の都合の良い時に見れば良いのですから、各々の仕事の能率を上げる意味で、非常に良い伝達手段だと思います。
《出典》工務店経営 (11/04/15) 前頁      次頁