冷房電力、6割節約の道
天井近くに小窓(暖気排出、自然の風借用)
 天井近くに暖かい風の通り道をつくり出す小窓を複数設けて、高温多湿の暑さを効率よくしのぐ省エネ冷房の開発に東大生産技術研究所が乗り出す。オフィス向けの構想。試算では、エアコン冷房に比べて最大6割の電力を節約できる。3月からベトナムと千葉市内で実証試験を始める。 省エネ冷房は、小窓と冷却パイプ、床に置く冷房パネルで構成。小窓により天井付近に暖かい風の通り道ができる。人間から発生する熱は上昇し、風に乗って外に出ていく。冷却パイプは、外気の一部を除湿・冷却して小窓の下付近から床に向けて吹き出し、室温を下げる。それでも暑いと、冷水を循環させる冷房パネルを動かす。
 外気の気温30度、湿度70%の条件でコンピューターによる試算をしたところ、高さ2.6㍍の天井付近は30~33度の空気が流れる一方、人間が活動する1.8㍍以下の空間は28度以下に抑えられた。外気温が33度までなら快適な室内環境をつくることが可能だという。
 研究を進める加藤信介教授は「自然の風を最大限利用すれぼエネルギーの節約が可能になる。外気と屋内とを遮断する欧米型の冷房は、アジアでほ必ずしも適当とは言えない」と話している。
《出典》朝日新聞 (15/02/16) 前頁      次頁