瑕疵の立証責任は住宅取得者に
住宅新法案でPL 法の色彩薄れる
 「住宅版PL法」と言われるほど注目を集めていた「住宅の品質確保の促進等に関する法律案(仮称)」の内容が大幅に変更された。
 同法案は当初,製造物責任法(PL法)の考え方を取り入れ,基本構造部分の瑕疵や瑕疵担保責任の有無について施工・販売会社に立証責任を負わせる仕組みが検討されていた。しかし,建設省が1月に発表した法案では,こうしたPL法の色彩が薄れた内容となった。
 検討段階では,基本構造部分の各部位について「瑕疵推定基準」を設け,それを上回る現象が起こった場合は,自動的に瑕疵が存在する可能性が高いとされ,施工・販売会社が瑕疵がないことを立証しなければ,瑕疵担保責任を負わなければならない仕組みだった。
 しかし,瑕疵推定基準が一人歩きするのを住宅業界が恐れたこと,基準が甘くなることを弁護士界が懸念したこと----などの理由から,建設省はこうした仕組みを法案に盛り込むことを断念した。瑕疵や瑕疵担保責任の有無については,従来どおり住宅取得者が立証することになる。
 ただし建設省では,瑕疵推定基準に代わって,紛争処理時に瑕疵の有無を判断するうえで参考にすべき技術基準を作成する予定だ。瑕疵推定基準が「線引き」によって瑕疵の「シロ」「クロ」を決める考え方であったのに対し,新しい技術基準はそうした線引きをせずに,例えば「濃いグレー」「薄いグレー」というように,判断基準に幅をもたせる考え方をとる。 
 建設省では法案を3月上旬に国会に上程し,5~6月の審議を経て成立に持ち込む考えだ。施行は2000年の予定。
《出典》日経アーキテクチュア (11/02/08) 前頁      次頁