不動産情報:官民で協議会
参考価格をネットで提供へ
 これまで不透明と指摘されてきた不動産情報を、官民が協力してインターネットで無償提供する「不動産情報・登記・税制・評価システム協議会」(会長、寺村信行・元国税庁長官)が今月中旬に発足することになった。全国の弁護士、不動産鑑定士、一級建築士、公認会計士、税理士など不動産に関する業務を行う9業種の専門家(総数104万人)を順次、会員登録し、協議会が妥当と判断した参考価格を提供する。最終的に年間40万件といわれる不動産取引情報すべてを対象とする予定だ。
 新しい情報システムは、不動産の流通状況、売買・贈与実績など7853項目について扱う。まず、売り手が売り渡し希望価格などを登録した後、協議会が調査して妥当な価格と判断した「参考価格」を、実際の売買の目安として提供する。このほか、路線価、鑑定評価額なども明記し、不動産の形状や所有者、抵当権者など、買い手が知りたい情報も公開する。また、不動産取引活性化のため、個別不動産ごとの活用プランなども例示する。売り手も買い手も利用料は無料。ホームページのアドレスは近く決定する。

 これまで、日本の不動産に関する情報は、役所では建設省、国土庁、国税庁などにまたがっているほか、不動産業者もプライバシーの保護を理由に開示にはあまり積極的でなかった。このため、協議会のアドバイザーに、野崎幸雄・元名古屋高裁長官、牧野徹・住宅都市整備公団総裁、三澤千代治・ミサワホーム社長、安藤太郎・住友不動産相談役ら元官僚や学識者、業界関係者など13人を選出。政府内、業界などの調整に当たってもらう。 【野島 康祐】
《出典》毎日新聞 (11/05/07) 前頁      次頁