家庭ごみが全量、セメントの原料に
ダイオキシン汚染に朗報(埼玉・日高市)
 埼玉県日高市は27日、家庭から出る生ごみなどの一般ごみを12月から直接セメント工場に送って原料にする、と発表した。同市の全家庭から出されるごみのうち、缶やビンなどの資源ごみを除いた年間1万4千トンのごみのすべてを工場に送る。このため焼却施設が不要となり、市は焼却施設の操業を今月25日から止めた。市と工場は「全国初の技術」としている。
 この技術は、市と同市にある太平洋セメント埼玉工場(本社・東京都千代田区)が開発した。生ごみや紙くず、プラスチック、ガラス、瀬戸物などの家庭ごみをセメント工場で3日間かけて熱風を送りながら発酵させ、それに石灰などを混ぜながら1450度の高温で焼いてセメントにする。強度を弱める塩分を取り除く技術も合わせて開発しており、同社側は「強度も問題ない」としている。
 ダイオキシン汚染が問題になり始めた93年から研究を進めた。同社は17億円をかけて工場を改修、昨年3月から実証試験を重ねていた。
 ダイオキシン類の排出濃度も、昨年の測定で排ガス1立方メートル中0.0038ナノグラム(ナノは10億分の1)。この工場の排出基準は12月から適用される基準だと0.1ナノグラムで、大きく下回っているという。
 市は工場に1トン当たり3万9千円の処理費を支払う。従来の焼却処理費は約2万円だったが、焼却施設や焼却灰の最終処分場が不要になるため、実質的な負担は少ないという。
 日高市は埼玉県南西部に位置し、人口は約5万4千人。
《出典》朝日新聞 (14/11/28) 前頁      次頁