下村湖人(しもむらこじん) 1884年佐賀県生まれ。作家、社会教育家。本名虎六郎。 東京帝国大学文学部卒。大学時代には「帝国文学」の編集委員として文学評論に活躍。 のち台北高等学校校長となったが、1931年職を辞して上京、大日本青年団講習所長として青少年教育に従事。 1937年ごろからはもっばら文筆と講演の生活に専念した。1955年没。 主著に『次郎物語』『現代訳論語』『論語物語』『敦育的反省』他多数。
湖人は生涯をかけて『論語』に学んだ。二千年以上も経た『論語』の章句を自由自在に使って、『論語』で養われた自分の思想を物語に構成したものが『論語物語』で、『論語』の精神を後世に伝えたい一念が結晶している。 孔子と弟子たちが古い衣をぬぎすて、現代に躍り出す。その光景がみずみずしい現代語でたんねんに描かれている。孔子はすぐれた教育者であった。 教育乱脈の今日の日本にとって、本書は万人必読の書である。(永杉喜輔氏「まえがき」より)