もろかった耐震住宅
震度5弱で「全壊」判定
「関東大震災の4.8倍の地震に耐えられる」がうたい文句の大手住宅メーカーの鉄骨住宅が、伊豆半島東方沖群発地震の強度5弱の地震で新築後5ヶ月で壊れ、固定資産税を徴収するための静岡県伊東市課税課などの調査で「全壊」と判定されていたことが5日分かった。メーカー側は「修理可能でこの判定は納得できない」と反論している。
住宅は同市内に住む公務員(47)が昨年10月、約2400万円で新築した2階建て鉄骨プレハブ住宅。メーカーのパンフレットなどによると、鉄骨を箱状に組み剛性を高めた「ボックスラーメン」構造で、鉄筋コンクリートの基礎部分とは太さ16㍉のボルト16本で締結される。「関東大震災(マグニチュード:M=7.9)の4.8倍の地震に耐えられます」とされていた。
ところが今月3日深夜のM5.2の地震(同市で震度5弱)で、周辺の在来工法の住宅はほとんど被害がなかったのに、この住宅は室内がメチャメチャに。特に2階ではピアノが壁を突き破って隣室に飛び込んだり、妻と長男(7)のベッド上にタンス2本が倒れた。鉄骨の住宅部分は基礎部分から数㍉横すべりし、一部のボルトはねじ曲がって基礎コンクリートを割って露出、外壁の一部も浮き上がった。
市は、「家屋の機能を矢い、かつ修復が困難」と判定した場合に「全壊」と分類しており、今回のケースはこれに相当すると判定した。持ち主の公務員は「地震に強いというのでわざわざ選んで買ったのに」と憤慨している。
メーカー側は「納得できない」
これに対しメーカーの系列会社は「鉄骨部分は健在だし、基礎とのずれは修理可能だ。地形的理由でここだけ揺れが大きかった可能性もある。『全壊』と言われるのはおかしい」と話している。【高安 厚至】
《出典》毎日新聞 (09/03/06) 前頁  次頁