群を抜く充実した内容 | |
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HPで情報交流の場提供(建匠) | |
創意工夫に富んだHP 建匠(本社=東京都目黒区、辻隆夫社長)のホームページは、社長の辻さんがすべて自分で製作したものである。コンビュータの分野に明るい辻さんだから、製作することに問題はなかった。むしろ重要なのはコンテンツの中身である。 「四年ほど前にホームページを開設しました。その時は当社会社概要を紹介するだけのものでした。それでも、オープンさせたという喜びから、数社の建築設計事務所にメールで案内を出しました。 そうしましたら、京都の建築家から返事が来て、『会社案内だけでは、再度アクセスして見る人は少ないだろう。もっと、家を建てたいと思っている人に役立つ情報を充実させ、検索機能もつけ、見やすくした方がいいLというアドバイスをもらいました。 当時はホームページを開設しただけで話題になる時代でしたので、そこまで突っ込んだ意見を言ってくれる人はいませんでした。 なるほどと思いまして、当社の特徴である建築設計事務所との仕事を詳しく紹介、建築家の経歴や作品を画像でアップすることにしました。 その当時、独自でホームページを持っている設計事務所は一社もありませんでしたから、コンテンツの素材もこちらで集めなけれぱならす、苦労しました」 住宅展示場のモデルハウスなどに飽きたらず、建築家に設計を依頼して個性的な住まいを建てたいというユーザーから、同社のホームページは支持された。 しかし、そうしたユーザーがもう一歩踏み込んで具体的な行動に移すには、まだ不安がある。 それは、作品から気に入った建築家であっても、いざ設計を依頼するとなると、「一度声をかけると、途中で断ることができないのではないか』という心配である。ものづくりには、お互いの相性が決め手になるからだ。 「紹介する設計事務所の数を増やすにしたがって、当社と付き合いのなかった設計事務所からも、ホームページで紹介してもらえないかという問い言わせも出てきました。 また、建築家に設計を依頼するうえでのユーザーの不安も見えてきました。そこで、Q&Aコーナーを設置したんです。 ユーザーからの質問や不安に対して、当社だけでなく建築家にも答えてもらうことにしています。質問に対していろいろな人が答えることで、単なるQ&Aではなくコミュニケーションの場にもなっています。 あるユーザーが質問すると、その内容はホームページ上にも掲載されます。同時に、紹介している建築家全員にメールで配信されます。 回答も、ホームページ上だけでなく、質問したユーザーにもメールされます。この仕組みをつくったことで、ちょくちょくホームページにアクセスして質問と回答を確認しなくても、自動的にメール交換ができるわけです」という。 すばらしいアイデアだ。このように、同社のホームページはユーザーと建築家のコミュニケーションの場を提供している。 ユーザーが自分で見積もり ホームページを通じ、同社にはいろいろな質問が寄せられる。興味深いものとして見積もりをチェックして欲しいというのがある。 「ある設計事務所に設計を依頼して見積もりを提示してもらったが、その費用が妥当なものかどうかチェックしてもらえないかという話は結構ありす。 不安を持つユーザーのために、自分で見積もりができる仕組みをホームページに設置しました。この背景には当社の長年のノウハウが生かされています。 まず、ユーザーに知ってもらいたいのは、坪単価だけで安い、高いを決めては失敗するということです。どのような部材や設備を選択するかによって施工費は違ってきます。 その点を理解できるように、部位ごとに使う部材の選択技を用意し、ユーザーが選びます。部材を代えることによって、当然見積もりも変わるわけですが、操作をユーザー自身が行うことにより、どのくらい価格差が出るものかが分かる仕組みになっています。 楽しみながら見積もりを理解してもらえれば良いわけで、無料です。ですが、十人のうち八人くらいは、当社と施工契約をしたいといってきます」 この見積もりシステムは、同社が実際にコンピュータを使って見積もりをしているシステムを生かしており、ホームべージ上のものは、その簡易版といったものである。が、条件設定や選択技をていねいに入力すると、ほぼ正確に単価と総額が表示される。(文・松下寛光) | |
《出典》住宅産業新聞 (13/04/18) | 前頁 次頁 |