切り絵でふすま
児童が飾り付け(下目黒小)
 目黒区目黒の区立下目黒小(鹿海治校長)で14日、児童が切り絵で飾り付けた和室のふすまのお披露目会が開かれた。「和室がある家が減り、『和の空間』になじみが薄い児童が増えている」どいう表具店主や紙卸売店社長が、無償で紙を提供し、張り付けの指導を買って出た。「これをきっかけに和室やふすまに関心を持ってもらえれば」と期待している。
 下目黒小は、89年に改築したさいに24畳の和室を設置。社会科の授業やクラブ活動に利用してきた。同校によると和室は区立小22校のうち3校にしかない。
 設置以来改装していなかった和室は、古さや傷みが目立った。そこで同小の元PTA役員で「清勢表具店」店主の清勢英治さん(55)が鹿海校長と相談。知人の紙卸店「宇野紙店」(文京区)社長の宇野裕次さん(40)に声を掛け、ふすまを張り替え、児童が和紙で作った切り絵で飾り付けることにした。
 1月中旬から、2人や図工の先生から指導を受け、四季をテーマに、5年生52人が高さ180㌢、幅90㌢のふすま14枚に切り絵を張り、4年生39人が戸棚10面にちぎり絵を描いた。図工の5時間を使って完成させたふすまや戸棚は14日にお披露目され、集まった保護者らの前で工夫点や苦労した部分を報告した。
 鶴の絵を担当した古山千秋君(11)は「色遣いを工夫した」と言い、谷口可奈さん(11)は「ずっと残る絵をみんなで張れてよかった」と話した。宇野さんは「最初の授業で『和室が家にある子は?』と聞くと半分くらい。『ふすまって何?』と聞く子さえいた。最初は『自分が作ったから』でいいので和に興味を持って」と語った。鹿海校長も「PTA会議などにも積極的に利用していきたい」と話していた。【安高晋】
《出典》毎日新聞 (18/02/15) 前頁  次頁