パパ・ママがん…子に心のケア
厚労省研究班、プログラムづくり
 がんになった親を持つ子どもの心をケアしょうと、厚生労働省の研究班が8月下旬からプログラムづくりを始める。年度内に完成させ、普及を目指す。米国で開発され、50以上の病院で実施されているプログラムを活用し、小林真理子・国際医療福祉大准教授らが、日本人向けに改良をめざす。
 まず、親ががんだと知らされている6~12歳の小学生10人を対象に隔週で計6回、東京都内で実施する。昼食をはさんで約2時間、悲しみや不安の解消、怒りをため込まずに表現する体験などをしてもらい、自分の感情を理解し周囲に伝える方法を学ぶ。こうした心のケアの前後で、子どものストレスや親の病気への反応の変化を分析。親も別室で自分の悩みを看護師らと話し合う。
 20~50代の子育て世代は年間約16万人が新たにがんになる。特に乳がんや子宮頸がんなどの患者が増えており、この世代の病死は、がんが最も多い。子どもにがんを伝えない例も多く、研究班の調査では、乳がん患者の半数近くが子どもへの伝え方に悩んでいた。子どもの約8割が「自分もがんになるかもしれない」など、心的外傷後ストレス障害を示していることもわかった。
 研究に参加する東京共済病院の医療ソーシャルワーカー大沢かおりさんは「がんは怖い印象が強く、感情がより内にこもりやすい。プログラムで子どもたちが心情を吐露し、気持ちが和らぐきっかけになれば」と話している。(岡崎明子)
《出典》朝日新聞 (22/08/16) 前頁  次頁